ジョーカー(2019)

ついに映画館に行ってジョーカーを見ることができました。このジョーカー、アメリカではダークナイト公開時の映画館での発砲事件から、何かと話題となっており、その客入りはすごいものとされた記事を見ます。さて、日本ではどうかと言うと公開以来3週間程経ちましたが、ほぼ満席状態で、空いているとすれば前方が数席程度と好んで予約する状況ではありませんでした。しばらく空席状況を確認する日々が続いていたところ、丸の内ピカデリーで運よく後方真ん中を予約できました。

丸の内ピカデリーでは、ドルビーシアターという音響と映像をパワーアップした部屋でみました。その分追加600円なのですが、20日は1200円ディーということで、実質1800円で見ることができました。ドルビーシアターは別館の5階にあるのですが、エレベーターのドアが開いた瞬間、薄暗いそして青白い光が印象的な部屋でした。なお、座席は座り心地のよい革張りシートで、通常の座席と比べ一回り大きいですが、プラス600円で付加価値を感じる人はどれ程いるのでしょうか。映画好きで比較的気軽に映画館に行く正確な僕でさえ、割高感は強いのです。人気作で良い席が取れない作品をプラス600円払って観に行くという使い方はありかもしれません。

レビューですがここから下はネタバレも含みます。ジョーカーになる前のアーサーは、ピエロとして働き、貧しいながらも母親を養っていました。このあたりはなんだか、僕の知っているジョーカーと大きく違い人間味あふれる優しさにあふれている人柄を感じました。仕事中に何度も失敗をし、そのたびに社長から怒られる姿は一所懸命働く中、失敗を上司から怒られる現代のサラリーマンの姿を重ねる人も多かったのでしょうか。ただ、時折不気味に甲高い笑いをします。何度もそのようなシーンを見るのですが、だんだん気持ち悪くなってきます。演技なのか病気なのかは、本当のところは不明ですが、興奮すると笑いがこみあげてくる性格だそうです。

途中で笑いがこみあげてきたシーンがあるのですが、この辺りから物語は急変していきます。冒頭の少年たちに襲われたため、同僚から銃を護身用にもらうのですが、使い道は当然見ている人の頭に浮かびますので、省略します。小児園でのパフォーマンスで、懐からこの銃を落としたことから、楽しい雰囲気は変わり仕事も首にもなります。当然でしょうか。でも、想定外だったため、笑いがこみあげてきました。

このアーサーを語るうえで重要なシーンと思われるのが、尊敬するコメディアンのマリーの番組を見て、彼の番組に観客として出演した際に、彼から君が息子ならすべてを捨てても良いという言葉を掛けられるという妄想を抱きます。ここで重要なセルフが、君が息子なら、、、、彼は母子家庭で育ち、父親の愛情を求めていたのかもしれません。このセリフの伏線が、後に母親の手紙を読んで、父親はトーマス・ウェインとしり、彼の豪邸に尋ねるシーンではないでしょうか。ここで将来のバットマンであるブルース・ウェインと初めて会うのですが、彼に対する態度は決して悪意があるものではなく、なぜか深い愛情があるもののように感じました。そして劇場でトーマス・ウェインに会うことになります。アーサーは富豪の彼に捨てられた恨みを抱くというより、ただ父親としての彼に会いたかったのですが、ここで自分の両親の事を知ることになります。

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本作ではバットマンは出て来ませんが、それなりの背景を知っていればより映画を楽しめるかもしれません。その一つがアーカム精神病院です。ここでトーマスから教えてもらったことが事実だと知るのですが、映画を見ているだけだとテンポが速すぎて理解が難しく感じました。ぜひ、この辺りは注意深く見てほしいと思います。さらに僕の頭の中でも混乱が生じてきました。アーサーの恋人だと思っていた同じマンションの女性から冷たくあしらわれてしまいます。母親の事実を知り絶望の中、恋人の家に入りソファーに座るのですが、それを見た女性はとても怯えているようにも見えました。部屋を間違えているので、お願いだから帰ってと冷たくあしらわれます。これって、彼女とのデート等すべてがアーサーの妄想の中で起こった出来事ではなかったのでしょうか。彼は、彼女に対してストーキング行為もしていましたし、ここでデートの回想シーンが一瞬出るのですが、そこには彼女はいませんでした。絶望の中、自分の部屋へ帰る薄暗い廊下を歩くアーサーはとても恐怖を感じるものでした。この後彼女が出演することはなくなるので、いろいろな憶測を呼ぶところではありますが。

なお、物語の中核ともいえる富裕層と貧困層の対立がこの辺りから鮮明に出て来ます。富裕層を代表するトーマス・ウェインと貧困層のアーサー他ピエロのデモ隊です。富裕層の対する抗議のデモ隊のシーンは、なぜか現在の香港のデモと重なってしまいました。香港では、ジョーカーは上映しているのでしょうかね。香港のものとは趣旨も全く違うのですが、不満の塊はいずれ暴力行為へと繋がっていきます。アーサーが起こした発砲事件も、相手がウェイン社の社員と言う富裕層が被害者であったことから、ヒーローのように一部扱われるところもどこかの国の思想を反映したような感じもあり、とても印象的でした。この視点を除いたところでは、貧困層という弱者が富裕層と言う強者に立ち向かうという解釈もできますが、そこでは暴力や破壊行為しか手はないというむなしさがあります。

また、このような解釈でいいのか迷いますが、アーサーは実は精神病ではなく、母親に小さなころから飲まされていた精神安定剤のため、長らくおかしな行動をとっていたと僕は解釈しています。母親の事実を知り、薬をやめてからは頭がすっきりしていると同僚に話していたことからも、本当はとても安定していたのかもしれません。そこへ世間の無常さを痛感し、怒りを越えて吹っ切れたために、とうとう悪の道へ入ったのだと思います。警察に捕まったジョーカーをデモ隊は救出するのですが、この辺りの演出もアメリカ映画でよくあるヒーローの描写そのものでした。残念ながら最後はなぜかアーカム精神病院のシーンへと移ります。今までのストーリーが過去なのか妄想なのかは、さらに深まりました。

2時間と言う長編ですが、テンポの速い作品で飽きることなくストーリーに―没頭できました。なかなか良い席で見ることができない作品ですが、おすすめの作品です。

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